報道関係者各位

ニホンモニター株式会社

メディアの調査・分析を行うニホンモニター株式会社(本社:東京都港区浜松町、代表取締役社長:韮澤満)は、第89回 東京箱根間往復大学駅伝競走(以下、箱根駅伝)における「SNSでの大学名入りコメント(ツイート等)」の抽出・カウント調査を行いました。

 

【 調査結果 】

1920年(大正9)にはじまり、今年で第89回大会を迎えた箱根駅伝。日本テレビでは1987年から中継を開始し、1992年以降は視聴率25%超(関東地区)を記録している。今年はご存知の通り「日体大」が優勝。遡ると近年は「東洋大」の強さが目立ち、その少し前の2000年代は「駒大」、1990年代は「山梨学院大」と「大東大」、80年代後半は「順大」の強さが目立っていた。
また、競走(スポーツ)としての盛り上がりもさることながら、ソーシャルメディアが躍進した今、大学のメディア露出を発端としたネット上の書き込みがPR効果を生み、入学志望者数増加へ繋がる可能性も考えられる。第89回大会について、SNSではどの大学が目立っていたのかを調べた。

■ 箱根駅伝「日体大」にもタレントが揃っていた!

2013年1月4日、箱根駅伝で「日体大」が30年ぶりの総合優勝を果たした。前年のシード権落ちから予選会を勝ち上がってきての快挙である。下馬評では、選手層の厚い「東洋大」と「駒大」の2強と言われていたが、総合力で着実なレース運びをした「日体大」に勝利の女神が微笑んだ。「日体大」は、3年生エースを主将に抜擢するなど荒療治もしたようだが、10区間ともタレントは揃っていたと言えるだろう。予選会をトップで通過してきたのだからその実力は相当なものである。

■「箱根駅伝」 SNSではどの大学が盛り上がったか

SNS(Twitter・Facebook・掲示板・他)ではどの大学が盛り上がっていたのだろうか。今回シード権を得た上位10校について、その大学名がコメント(ツイート等)された数の推移が下図である。「箱根駅伝」というキーワードで抽出された全コメントは、1月1日~4日で、1.1万件→8.6万件→8.1万件→1.8万件であった。そのデータベースの中で各大学名の入ったコメントをカウントしたものである。これを見ると、「順大」が最も特徴的だが、説明は後述する。

箱根3ブロック目グラフ

 

【各大学の順位とコメント数】
大 学 1区 2区 3区 4区 5区
往路順位
往路
コメント数
ランキング
6区 7区 8区 9区 10区
総合順位
復路
コメント数
ランキング
日体大 7 3 4 2 1 1 1 1 1 1 1 2
東洋大 1 2 1 1 3 2 2 2 2 2 2 3
駒 大 4 5 2 10 9 4 6 5 6 3 3 5
帝京大 14 15 12 6 7 9 7 6 6 6 4 7
早 大 17 12 3 3 2 3 4 4 4 4 5 4
順 大 10 14 15 7 8 7 8 8 8 7 6 1
明 大 2 6 6 4 4 8 3 3 3 6 7 6
青学大 18 11 7 8 6 6 9 9 9 8 8 8
法 大 3 16 16 13 5 5 5 7 7 9 9 9
中院大 8 7 13 9 13 10 11 11 10 10 10 10

 

まずは、順位とコメント数の関係を見る。在校生やOBOGの数が異なるのでマンモス校ほど絶対数は大きくなりやすいが、上下変動は概ね対応関係があるようである。往路1位・2位・3位の「日体大」「早大」「東洋大」が2日(往路)で高くなり、そして翌3日(復路)では総合優勝した「日体大」がコメント数を伸ばし、「早大」「東洋大」は落としている。順位を下げた「法大」もコメント数を落とし、順位を上げた「駒大」は横ばい、同じく順位を上げた「帝京大」はコメント数を伸ばしている。「明大」は順位は落としたもののコメント数は伸びた。8区まで3位をキープしたことや、9区でブレーキがかかったこと、10区終盤で「順大」に抜かれたことが却ってコメント数を伸ばした可能性がある。

■ 順天堂大学、ジョジョ立ちで話題に!

さて、この結果で特異なのが「順大」である。3日(復路)では、優勝した「日体大」をも上回るコメント数となっている。この結果は、「順大」の10区アンカーの「堀」選手がゴール直後に「ジョジョ立ち」ポーズをしたことへのコメントが大多数である。ちなみに、「ジョジョ」とは「ジョジョの奇妙な冒険」という連載漫画を指し、その作中で登場人物が見せる独特な腰のひねりや手足の動き、ポーズのことを「ジョジョ立ち」という。疲れ果てたであろうゴール直後にさりげなくポーズを決めたことに、好意的な反応やリツイートが「順大」名称と共に拡散された。(※1)

下図は「順大」関連コメント数とその内訳である。「ジョジョ」関連コメントが大多数であることが分かる。4日間計で73%、3日(復路)で82%、4日では98%をも占めている。また、「ジョジョ」関連コメントを除いた「順大のみ」では、「帝京大」「明大」「青学大」「法大」などと同等になることも分かる。

箱根7ブロック目グラフ

■ 東洋大学、箱根駅伝優勝で入学志望者が増える

箱根駅伝は嗜好が多様化した2000年代にあっても、未だに国民の関心を集める一大イベントの地位を維持している。順大に関するコメントを見ると、ネット上で話題になることによって箱根駅伝の「存在感」はさらに増した感すらある。ではこの箱根駅伝、参加する大学にとってはどのような意味を持つのだろうか。昨年2012年1月4日のJcastニュースに【箱根駅伝圧勝の東洋大 受験者「1万人増」期待】という記事があった。これによれば、「東洋大」は箱根駅伝での優勝、「柏原人気」により、同大学の入学志望者数は毎年アップ/総合優勝した2009年の志望者数は前年より1万人増えて6万9,000人。10年はさらに4,000人増の7万3,000人が受験/受験料だけで1億4,000万~3億5,000万円も増えた計算になるとのこと。(※2)

過去数年の好成績によって「東洋大」の知名度はアップしたはずだ。ただ、それだけでは入学志望者数の増加にはつながりにくい。何らかのイメージ形成がされたと考えるべきであろう。「東洋大」と聞いて、何を連想するだろうか。「濃紺のナイキのユニホーム」、「ガッツポーズをする柏原選手」、「箱根駅伝優勝」――東洋大学をこういったイメージやキーワードと共に連想する人も多いはずだ。それこそまさに箱根駅伝に出場する、おそらくほぼ全ての大学が期待するところなのである。既に知名度もイメージも一定以上あると思われる「早慶」や「MARCH」で同じことが言えるとは思わないが、「日東駒専」という3位集団から「東洋大」は一歩抜け出た感があるかもしれない。

■ 順天堂大学、知名度はアップしたと思うが・・・

イメージの形成と言う観点からすると、成績上位の「日体大」「東洋大」についてのコメントと、「ジョジョ立ち」の「順大」に関するコメントでは性質が異なる。なぜなら「ジョジョ立ち」ポーズが、スポーツやその感動とフィットしているとは思わないからだ。しかし、「ジョジョ」関連コメントは概ね好意的でもあり、合わせてコメントされた「順大」の知名度はかなりアップしたと考えて良さそうである。しかも、若年層中心にである。入学志望者増加のための第一段階は通過しただろう。「順大」の学部構成(医学部・スポーツ健康科学部・医療看護学部・保健看護学部)自体は、スポーツとのマッチングが高い。よって今後はスポーツとのイメージ連動を意識した、知名度アップだけで終わらない広報活動がキーになるのではないか。
さて、2013年優勝した「日体大」、2位に終わった「東洋大」、そして「順大」の今年の入学志望者数はどうなるのであろうか。来年の箱根駅伝と共に、注目していきたい。

  • ~ 参考記事 ~
  • ※1:順大10区・堀、宣言どおりジョジョ立ちゴール…箱根駅伝(2013年1月4日・スポーツ報知)
  • ※2:箱根駅伝圧勝の東洋大 受験者「1万人増」期待(2013年1月4日・Jcastニュース)

 

【 調査概要 】
  • ■ 調査方法:「箱根駅伝」をキーワードにSNSやブログでのコメントを抽出、そのデータベースから大学名の入ったコメントをカウント。(例:「日体大」であれば「日体」及び「日本体育」で検索)データ抽出には、NTTアイティ株式会社のSNS評判情報解析サービス「評Ban」を使用
  • ■ 調査対象:第89回箱根駅伝にてシード権を獲得した上位10校
  • ■ 調査期間:2013年1月1日(火)~4日(金)

< この件に関するお問合せ先 >

  • ニホンモニター株式会社 テレビスポーツ情報研究所・平山
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